歯周病で減った歯槽骨は戻る?再生の仕組みと歯を残すための判断|江別市の歯医者|石川歯科医院

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歯周病で減った歯槽骨は戻る?再生の仕組みと歯を残すための判断

歯周病で減った歯槽骨は戻る?再生の仕組みと歯を残すための判断

減った骨は戻るのか、まず仕組みから


歯ぐきからの出血をきっかけに受診したところ、「奥歯を支える骨が減っています」と説明を受けた。帰宅してから、骨は元に戻るのか、歯は残せるのかと気になった方もいるでしょう。歯周病で失われた歯槽骨には、条件がそろえば一部の回復を目指す治療がありますが、元どおりになるとは限りません。この記事では、骨が作られる仕組み、再生治療と骨造成の違い、対象かどうかを見極める診査、腫れや感染などの注意点を整理しました。相談の場で聞いておきたいこともまとめています。


この記事の要点まとめ


  • 歯周病で減った歯槽骨は、炎症を抑え条件が整えば一部回復を目指せますが、元どおりとは限りません。
  • 歯周組織再生療法は歯を支える組織の回復を目指し、骨造成は主にインプラントの土台を整える治療です。
  • 適応は骨欠損の形や深さ、歯の揺れ、全身状態などから判断し、費用や通院期間、術後の症状も相談します。

目次



歯周病で減った歯槽骨は、どう再生されるのか

歯周病で減った歯槽骨は、どう再生されるのか

歯槽骨は、炎症を抑えて骨を作る細胞が働ける環境が整えば、一部が再生される可能性があります。ただ、何もしなくても元の高さまで戻るわけではありません。


「歯の骨が溶ける」とは、支えが減ること


歯周病は、歯垢にすむ細菌による慢性の感染症です。炎症が長く続くと、歯を支える組織が少しずつ壊れていきます。「骨が溶ける」と表現されるのはこの状態で、歯槽骨(歯を支えるあごの骨)が吸収され、支えが減っていきます。


痛みが出にくいのも特徴です。歯みがきのときの出血や、噛んだときの違和感で初めて気づく方も少なくありません。なお、歯の根そのものが短くなる「歯根吸収」は別の現象で、原因も対応も異なります。


骨芽細胞が骨を作るには、炎症を抑えた環境が大切


骨は、骨を作る骨芽細胞と、古い骨を壊す細胞が入れ替わりながら保たれています。歯周病の炎症が続く間は壊す側に傾くため、最初に歯周基本治療(歯石の除去や歯みがきの見直し)で細菌と炎症を減らします。


炎症が落ち着くと、出血や腫れは減りやすくなります。それでも、失った骨がそれだけで回復するとは限りません。再生療法の研究でも、治療前の骨の減り方によって結果に差がみられています1。


骨だけでなく、歯根膜やセメント質も歯を支える


歯は、歯槽骨・歯根膜(歯と骨をつなぐクッションのような膜)・セメント質(歯根の表面を覆う薄い層)の3つで支えられています。骨の量が増えても、歯根との間につながりができなければ、歯の支えとしては十分に働きません。


ポイント

歯周組織の再生は、骨を増やすことだけでなく、骨・歯根膜・セメント質のつながりを作り直すことを目指す考え方です。


自分の歯を残す再生治療と、インプラントのための骨造成の違い

自分の歯を残す再生治療と、インプラントのための骨造成の違い

二つは目的が異なります。歯周組織再生療法は今ある歯の支えを回復させる治療で、骨造成は主に抜歯後、インプラントを入れる土台を整えるための治療です。


歯周組織再生療法は、残した歯の支えを回復させる治療


歯ぐきを開いて根の表面を清掃し、組織が育ちやすい環境を整える外科処置です。代表的なものに、エムドゲイン、リグロス、GTR法があります。どの方法を用いるかは、歯科医師が状態に応じて判断します。


エムドゲインについては、歯ぐきを開いて清掃するだけの処置と比べ、歯周ポケットや歯との付着の改善がやや大きかったと報告されています。ただし、その差が実際の歯の寿命にどこまで影響するかは慎重に解釈する必要があるとされています2。どの方法も、すべての骨欠損に用いるわけではありません。


術後の腫れ・痛み・内出血や、感染、歯ぐきが下がって歯がしみる、使った材料が歯ぐきから見えてくるなどの症状・合併症は、起こり方に個人差があります。期待した程度まで支えが回復するかも含め、歯科医師にご相談ください。


骨補填材や膜は、骨ができる場所を支えるために使う


骨補填材は骨が伸びていくための足場、膜はその場所を守る仕切りの役割を担います。材料そのものが元の骨になるのではなく、周囲から入り込んだ細胞が骨を作るのを助けるものです。


GBR(骨誘導再生法)も同じ考え方ですが、主に抜歯後の骨の幅や高さを補う場面で使われます。自分の細胞を培養し人工の骨補填材と組み合わせる方法も、インプラント前の大きな骨不足を対象に研究されていますが、一般の治療として広く行われている段階ではありません3。


歯を残す見込みが乏しい場合に骨造成を考える


骨の減り方が大きく、歯を保存しても長く支えられる見込みが低いときは、抜歯後の治療も含めて検討します。


比べる点歯周組織再生療法骨造成(GBRなど)
目的今ある歯の支えを回復させるインプラントの土台を整える
対象歯の周りの骨欠損抜歯後のやせた骨
主な方法エムドゲイン、リグロス、GTR法GBR、ソケットリフトなど
主なリスク腫れ・痛み、感染、歯ぐきが下がる、回復が不十分腫れ・痛み、感染、膜や骨補填材の露出、骨が十分にできない

インプラントを選ぶ場合、骨の幅を補う水平的骨造成、高さを補う垂直的骨造成、上あごのソケットリフトなどが検討されます3。ただし、骨造成を行っても骨や全身の状態によってはインプラントが難しい場合もあります。インプラントを入れた後も、周りの歯ぐきと骨を保つための定期的なメンテナンスが続きます。


再生治療の対象になるかは、何を診て判断するのか


歯周基本治療で炎症を抑えた後の状態、骨欠損の形と深さ、歯の揺れ、全身の状態や生活習慣をあわせて判断します。ご自身だけで適応を決められるものではなく、診査結果をもとに歯科医師と相談して決めていきます。


歯ぐきの炎症を抑えた後に、骨の減り方を調べる


再生療法を検討するのは、歯周基本治療を終えて炎症が落ち着いてからです。再評価では、主に次の点を確認します。


  • 歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)の深さと、出血の有無
  • 歯垢がどの程度残っているか(日々の清掃状態)
  • レントゲンで見える骨欠損の形と深さ

骨の形を立体的に確かめたいときは歯科用CTを用いることもありますが、全員に必要なわけではなく、状態に応じて判断します。


縦に深い骨欠損や奥歯の根の間も、状態によって見込みが異なる


垂直性骨欠損(歯の根に沿って縦に深く減った形)は、再生療法が検討されやすい形です。骨欠損の深さや角度、周りに残る骨の壁の数についても、検査で確認します。治療後の経過には個人差があるため、再生療法が適するかは歯科医師が判断します。


奥歯の根の分かれ目まで骨が減る根分岐部病変は、進み具合によって見込みが大きく変わります。歯の揺れが大きいときは、噛む力のかかり方も含めて検討します。


喫煙・糖尿病・歯ぎしりと、回復しきらない場合の選択肢


喫煙・糖尿病・歯ぎしりや食いしばりが治療後の経過にどう関わるかは個人差があるため、歯科医師にご相談ください。こうした条件を踏まえ、治療を受けられるかや術後の管理について、歯科医師と相談します。


ポイント

再生が十分でない場合も、歯周病の管理を続けて歯を保つ方法や抜歯後の治療など、選択肢は一つではありません。


江別市の石川歯科医院で相談する前に整理したいこと


相談の際は、歯を残せる見込み、費用に含まれる項目、通院の予定、術後の連絡方法の4点を聞いておくと、仕事やご家族の予定と照らし合わせやすくなります。当院では、できるだけご自分の歯を残せるよう、口腔内全体の健康を保つお手伝いができればと考えています。専用のカウンセリングルームでチェアーモニターやiPadを使って説明し、しっかりご納得いただいてから治療に進めるよう心がけております。


「歯を残せる見込み」と「費用に含まれる項目」を聞く


骨欠損の形や深さ、治療をしない場合の見通し、ほかに考えられる方法をまず確認しましょう。研究でも結果には個人差があるため1、ご自身の検査結果に沿った説明を受けることが判断の土台になります。


歯周組織再生療法は、使う薬剤や条件によって公的医療保険の対象となる場合と、自由診療(保険が適用されない診療)となる場合があります。自由診療で行う場合、一般的な相場はおおむね1歯(1部位)あたり3万〜15万円程度で、使う薬剤、骨補填材や膜の有無、治療する範囲によって変わります。インプラントのための骨造成(GBRなど)を自由診療で行う場合も、一般に1部位あたり3万〜15万円程度が目安とされ、骨の不足が大きいほど高くなる傾向があります。これは一般的な相場であり当院の費用ではなく、実際の費用は医療機関により異なります。当院の費用は診察のうえでご案内します。診査・画像検査、薬剤や骨補填材・膜、手術、術後の管理がどこまで含まれるかも確かめておきましょう。


仕事や送迎と両立するため、術前から経過確認までの予定を聞く


一般的な流れとしては、術前の歯周基本治療に数回(1〜3ヵ月程度)通い、再評価を経て手術を行います。手術は治療する部位ごとに1回で、1〜2週間後に抜糸、その後も数回の経過確認が続きます。術後は患部の確認やケアを月1〜2回の頻度で定期的に行い、手術後6ヵ月ほど経過を観察したあとに歯周組織を再検査・再評価します4。これらは一般的な目安で、治療法やお口の状態によって期間や回数は変わります。雪の時期に受診が重なりそうなら、その点も含めて予定を相談しておくと調整しやすくなります。


術後の確認を続けるため、通院できる日程と交通手段を確かめておきましょう。当院は野幌駅から徒歩約3分で、専用駐車場もあります。


術後の腫れ・感染の兆候と、連絡する目安を確認する


歯周組織再生療法や骨造成は外科処置のため、術後には次のような症状が出ることがあります。


  • 腫れ、痛み、内出血(術後数日がピークになることが多い)
  • 傷口からの出血
  • 歯ぐきが下がり、歯が長く見える、冷たいものがしみる(知覚過敏)
  • 一時的に歯の揺れが大きく感じられる

まれに、次のような合併症が起こることがあります。


  • 感染(腫れの悪化、発熱、膿など)
  • 使った膜や骨補填材が歯ぐきから見えてくる(露出)。状態によっては材料を取り除く処置が必要になる
  • 傷口が開く、治りが遅れる
  • 薬剤や材料、麻酔に対するアレルギー反応
  • 下あごの奥を処置した場合の、くちびるやあごのしびれ
  • 期待した程度まで骨や支えの回復が得られない(骨造成では、骨が十分にできずインプラントを見送る場合もある)

日を追って腫れが強まる、発熱がある、膿が出るといったときの連絡方法は、治療前に聞いておきましょう。当院では症状によって歯科衛生士の担当制を採用しており、毎回の確認で細かな変化に気づきやすくしています。次の受診では、この記事の質問をメモにして持参し、ご自身の検査結果と照らし合わせながら聞いてみてください。


よくある質問


Q. 歯周組織再生療法とは何ですか?

A. 歯周病で失われた歯槽骨や歯根膜、セメント質など、歯を支える組織の回復を目指す外科処置です。薬剤や膜を使って組織が育つ環境を整えますが、元どおりになるとは限らず、結果には個人差があります2。術後に腫れや痛みが出ることがあり、まれに感染や歯ぐきが下がるなどの合併症が起こることもあります。


Q. 歯の骨が溶けるとはどういうことですか?

A. 歯周病の炎症が続き、歯を支える歯槽骨が吸収されて減っていく状態を指します。痛みが出にくいため、出血や噛んだときの違和感で気づくことも多くあります。


Q. 歯根吸収になりやすい人はいますか?

A. 歯根吸収は歯の根そのものが短くなる現象で、歯周病による骨の吸収とは別のものです。原因はいくつか考えられ、なりやすさも人によって異なるため、気になる場合は検査結果をもとに歯科医師にご相談ください。


Q. 歯周組織再生治療の費用はいくらですか?

A. 使う薬剤や条件によって、公的医療保険の対象となる場合と自由診療となる場合があります。自由診療の場合、一般的な相場はおおむね1歯(1部位)あたり3万〜15万円程度です。これは一般的な相場であり当院の費用ではなく、実際の費用は医療機関により異なります。当院の費用は診察のうえでご案内します。


Q. 石川歯科医院では、相談だけでも受診できますか?

A. ちょっとした相談事でも来院していただければと考えています。検査で分かったことや治療の選択肢を、チェアーモニターやiPadを用いて説明するよう努めております。


参考文献


1. Nibali L, Sultan D, Arena C, et al. Periodontal infrabony defects: Systematic review of healing by defect morphology following regenerative surgery. Journal of Clinical Periodontology (2021). PMID: 33025619 / DOI: 10.1111/jcpe.13381

2. Esposito M, Coulthard P, Worthington HV. Enamel matrix derivative (Emdogain) for periodontal tissue regeneration in intrabony defects. The Cochrane Database of Systematic Reviews (2003). PMID: 12804493 / DOI: 10.1002/14651858.CD003875

3. Sanz M, Gjerde C, Gjertsen BT, et al. Bone Augmentation of Atrophic Alveolar Ridges Using a Synthetic Bone Substitute With Mesenchymal Stem Cells: A Randomized, Controlled Clinical Trial. Clinical Oral Implants Research (2025). PMID: 40844304 / DOI: 10.1111/clr.70025

4. 歯周組織再生療法 | KOMPAS – 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト. https://kompas.hosp.keio.ac.jp/presentation/202202_2/


石川 正浩

歯科医師


石川歯科医院

国際口腔インプラント専門医学会認定医

石川 正浩

▶ 監修者プロフィール

経歴
1993年 北海道大学歯学部卒業、北大歯学部第1口腔外科入局
1998年 札幌市北区屯田に石川歯科医院を開設し院長就任
2003年10月 野幌インプラントセンター所長
2005年9月 国際口腔インプラント専門医学会認定医
2006年12月 国際審美学会認定医
資格・所属学会
日本顎咬合学会認定医
ICOI(国際口腔インプラント専門医学会)認定医
ISOI(国際口腔インプラント学会)指導医
国際審美学会認定医
日本口腔外科学会
日本口腔インプラント学会
日本成人矯正歯科学会